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院長のブログです。

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コレステロールが高いと言われたら

健診で血液中のコレステロール値の異常を指摘されることがあります。
コレステロールにはLDLコレステロール(悪玉コレステロール)とHDLコレステロール(善玉コレステロール)の2つがありますが、健診で異常を指摘されるのはほとんどの場合がLDLコレステロールです。
LDLコレステロールが高いと動脈硬化が進行します。
そこで、動脈硬化によって引き起こされる心筋梗塞や脳梗塞などの重篤な病気の発症を予防するために、LDLが高い場合は薬物治療によって下げる必要があります。
ただし、ここで注意してほしいのは薬による治療が必要かどうかは、単にLDLの値が正常よりも高いかどうかだけで決まらないことです。

狭心症、心筋梗塞、脳梗塞を既に起こしている患者さんでは、再発防止のためにLDLがそれほど高くなくても薬物療法が必要になります。
逆に動脈硬化のない若い人(特に女性)の場合は、多少LDLコレステロールが高くても薬を服用してまで治療する必要はなく、食事療法だけでも大丈夫です。
重要なポイントはすでに動脈硬化が進行しているかどうかです。

当院では動脈硬化の進行を評価するために、LDLの高い患者さんに対して、血管年齢(脈波伝播速度:動脈の硬さを調べる検査)や頚部血管エコー(動脈硬化による血管の肥厚を調べる検査)を行い、薬物治療が必要かどうかを細かく判断しています。
なお、若い人であってもLDLコレステロールが非常に高い場合は、家族性高コレステロール血症と言われる動脈硬化を引き起こしやすい遺伝性の病気の場合があり、さらに甲状腺機能低下症やネフローゼ症候群といった別の病気が隠れている可能性もあるので、専門医を受診することをお勧めします。

2023年09月12日

お薬手帳の重要性

複数の医療機関で治療を受けている患者さんは、診察の際にお薬手帳を必ず持参される様にお願いします。
これは新しくお薬を処方する際に、すでに他の医療機関で似たような薬(同種同効薬)が処方されてないかどうか、相互作用(薬の効果が強くなったり、弱くなったりすること)のある薬がないかどうか、一緒に処方してはいけない薬(併用禁忌薬)がないかどうかを確認するためです。
このような理由から医師にとってお薬手帳はとても大切です。
また、お薬手帳を見ることによって、他の医療機関で治療されている患者さんがどんな病気で治療を受けているか、処方した医師がどのように考えて治療を行っているかも推測することができます。

ところで、患者さんによっては、とても多くの薬を服用していることがあります。
一般的には、優秀なお医者さんは、的確な診断を行って必要最小限の薬を処方して治療します。
病気の診断がはっきりつかない場合ほど、病気そのものの治療(原因治療)でなく、症状に応じた治療(対症療法)となり、薬の種類が多くなる傾向があるようです。
もちろん多くの病気をかかえた患者さんでは原因治療であっても必要な薬が多くなるため、単純に処方する薬が少ない医師がいいとは限りませんが、不必要な薬が多ければ、薬の併用による有害事象(ポリファーマシー)が起こりやすくなるので注意が必要です。

現在自分が服用している薬が「どんな病気の薬で、なぜ必要なのか」を気軽に聞けるようなお医者さんにかかることが大切です。

2023年09月11日

心雑音とは

健診で心臓の雑音(心雑音)があると言われ、二次検査目的で当院を受診する患者さんも少なくありません。
心雑音とは心臓の中を血液が流れるときの音です。
正常な心臓では心臓の弁が閉じるときの音が聞こえますが、中を流れる血液の音は聞こえないため、血液の流れる音が聞こえた場合には雑音が聞こえるといった表現になっています。
心雑音の原因は様々ですが、比較的年配の方では心臓弁膜症のことが多いようです。
心臓弁膜症には、弁が狭くなること(狭窄症)が原因で血液の流れが速くなることで生じる雑音と、弁がきちんと閉じないこと(閉鎖不全症)によって血液が逆流する時に生じる雑音があります。
また、肥大型心筋症や高血圧性心臓病では、心臓の出口の筋肉が厚くなることで血流がはやくなって心雑音が生じます。
若い人で心雑音を指摘された場合には生まれつきの心臓の病気の可能性があります。
これには心臓の壁の一部に穴が開いている心房中隔欠損症や心室中隔欠損症があります。
また心臓に病気がなくても貧血や甲状腺機能亢進症などが原因で血液の流れが速くなることで心雑音が聞こえることもあります。
一方、特に異常がないにも関わらず心雑音が聞こえることがありますが、これは機能性の心雑音と呼ばれ、病気ではなく、また治療も不要です。
心雑音の原因を調べる検査には心臓超音波検査(心エコー検査)があります。
心エコー検査では心臓の内部を見ることができ、心臓の動き、心臓の弁の異常、心臓の肥大などの様々な心臓の病気を見つけることが出来ます。
さらに、カラードプラーと呼ばれる検査では心臓の中の血液の流れまでも見ることが出来ます。
当院でもこれまで多くの心臓の病気が心エコー検査で見つかっており、心雑音があると言われた人は心エコー検査を受けることをお勧めします。

2023年09月05日
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