コレステロールが高いと言われたら

健診で血液中のコレステロール値の異常を指摘されることがあります。
コレステロールにはLDLコレステロール(悪玉コレステロール)とHDLコレステロール(善玉コレステロール)の2つがありますが、健診で異常を指摘されるのはほとんどの場合がLDLコレステロールです。
LDLコレステロールが高いと動脈硬化が進行します。
そこで、動脈硬化によって引き起こされる心筋梗塞や脳梗塞などの重篤な病気の発症を予防するために、LDLが高い場合は薬物治療によって下げる必要があります。
ただし、ここで注意してほしいのは薬による治療が必要かどうかは、単にLDLの値が正常よりも高いかどうかだけで決まらないことです。

狭心症、心筋梗塞、脳梗塞を既に起こしている患者さんでは、再発防止のためにLDLがそれほど高くなくても薬物療法が必要になります。
逆に動脈硬化のない若い人(特に女性)の場合は、多少LDLコレステロールが高くても薬を服用してまで治療する必要はなく、食事療法だけでも大丈夫です。
重要なポイントはすでに動脈硬化が進行しているかどうかです。

当院では動脈硬化の進行を評価するために、LDLの高い患者さんに対して、血管年齢(脈波伝播速度:動脈の硬さを調べる検査)や頚部血管エコー(動脈硬化による血管の肥厚を調べる検査)を行い、薬物治療が必要かどうかを細かく判断しています。
なお、若い人であってもLDLコレステロールが非常に高い場合は、家族性高コレステロール血症と言われる動脈硬化を引き起こしやすい遺伝性の病気の場合があり、さらに甲状腺機能低下症やネフローゼ症候群といった別の病気が隠れている可能性もあるので、専門医を受診することをお勧めします。

2023年09月12日