日本ではほとんどの病気は化学合成された薬剤(西洋薬)で治療を行います。
西洋薬のほとんどは純粋な単一の化学物質であり、体のどこに作用して、どのような効果を発揮するかが科学的に証明されているものです。
一方、漢方薬は東洋薬または生薬(しょうやく)と言われ、自然界に存在する植物や鉱物を調合したものでできています。
漢方薬は多くの物質の組み合わせで出来ており、科学的には体のどこに作用するかがわかっていないものも多いのですが、先人の経験からどのような病気や症状に効くのかがわかっている薬です。
現在はほとんどの病気はその原因や機序がわかっており、ピンポイントで作用する西洋薬の方が効果的な治療を行うことが出来ます。
その一方で、原因が良くわかっていない病気や症状に対しては漢方薬がとても有効な場合があります。
一例をあげると、こむら返りと言われる筋肉の痙攣です。医学的には「有痛性筋痙攣」といいますが、これには漢方薬の「芍薬甘草湯」が劇的に効きます。
また更年期障害の様々な症状には「加味逍遥散」や「当帰芍薬散」などが良く効きます。
「葛根湯」や「麻黄湯」はウイルス感染によって増加するサイトカインを抑える作用もあり、西洋薬よりも有効なことがあります。
内科医にとって漢方薬を上手に使うことは、様々な症状のある患者さんを治療する上でとても重要です。