Q 糖尿病とインスリンの関係について教えてください。

インスリンは膵臓(すいぞう)から分泌されるホルモンのひとつで、血液中のグルコース(血糖)を低下させる働きがあります。糖尿病はインスリンの効果が不十分なことにより血糖が上昇する病気です。血糖が上昇すると様々な合併症を引き起こします。

食事で摂取した炭水化物や中性脂肪は消化液で分解されグルコースや脂肪酸になります。血液中のグルコースや脂肪酸はエネルギーとして使われるのですが、余ったグルコースや脂肪酸はインスリンの働きで一旦肝臓に取り込まれ貯蔵されます(その後脂肪に変換されます)。
カロリー摂取の多い人や運動不足の人では余ったグルコースや脂肪酸が多いためその処理のために大量のインスリンが必要になります。
さらに困ったことに血液中のインスリン値が高くなるとだんだんインスリンの効きが悪くなり(インスリン抵抗性と呼びます)、これを補うためにますます大量のインスリンが必要になります。

このように膵臓からインスリンが大量に分泌される状況が続くと膵臓がだんだん弱ってきて今度はインスリンの分泌量が減ってきます。インスリンの効きが悪くなることに加え、膵臓からのインスリンの分泌が低下することで糖尿病が発症するのです。

糖尿病には遺伝傾向があり、両親兄弟に糖尿病のある方は糖尿病になりやすいことがわかっています。これは簡単に言うと膵臓が強いか弱いかの体質的なことです。一般的に、日本人は欧米人に比べて膵臓が弱いため少しの肥満で糖尿病になりやすいといわれています。

なお、糖尿病はウイルス感染や自己免疫によって膵臓が破壊されインスリンの分泌が落ちてくることによって発病する糖尿病(1型糖尿病)もありますが、一般的な糖尿病(2型糖尿病)は上記の原因で発病します。