脂質異常症という病名を聞いたことがあるかも知れませんが、どんな病気かご存知ですか?
脂質異常症は以前は高脂血症と呼ばれていました。これはその名の通り、血液中の脂質の値が高い状態を示しており、この方がイメージとしてはわかりやすいと思います。
食物から取り込まれた脂肪や肝臓で作られた脂肪は血清脂質という形で血液の中を流れています。血液の中の脂質の主なものは、コレステロールと中性脂肪です。
コレステロールが高い状態を「高コレステロール血症」、中性脂肪が高い状態を「高中性脂肪血症」、両者を合わせて「高脂血症」と呼びます。いずれも動脈硬化を引き起こすため、心筋梗塞ゃ脳梗塞などの病気の原因と考えられていました。
ではなぜ高脂血症から脂質異常症に名前が変わったのでしょうか?
実は、コレステロールには、善玉(HDLコレステロール)と悪玉(LDLコレステロール)の2種類があり、善玉コレステロールが低いほど動脈硬化を起こしやすいことがわかったからです。
すなわち、「高LDLコレステロール血症」「高中性脂肪血症」と同じく「低HDLコレステロール血症」も悪いことがわかったため、コレステロールが高い状態(高コレステロール血症や高脂血症)が一概に悪いとは言えになくなったのです。
そこで、苦し紛れではないのですが、脂質異常症という大雑把な名前になってしまったわけです。
脂質異常症については基準値があり、治療が必要な状態や治療目標については、ほかの病気を持っているかどうかなどによって数値が決まっていますが、少し話が長くなるため、続きは次回にいたします。